加害者が加入する自賠責保険の請求方法には、加害者請求と被害者請求があり、ここでは被害者ができる被害者請求について解説します。

被害者請求が認められているのは、加害者側が支払いを渋る場合や、示談交渉がうまく進まないときでも、被害者は保護されるべきという観点からです。

自賠責保険は法定の支払い基準に基づいており、元から示談交渉の対象になる性質を持っていないので、示談交渉とは無関係に被害者から請求できます。

ただし、被害者請求で支払いを受けた金額は、加害者側に請求する金額から減額(損益相殺)しなければならないのは言うまでもありません。

【被害者請求に必要な書類】

・自賠責保険金請求書、仮渡金支払い請求書
・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
・医師の診断書、死体検案書、後遺障害診断書
・診療報酬明細書(仮渡金では不要)
・通院交通費明細書(仮渡金では不要)
・付添看護自認書(仮渡金では不要、場合により)
・休業損害証明書(仮渡金では不要、場合により)
・印鑑登録証明書、委任状と委任者の印鑑登録証明書(請求を委任する場合)
・戸籍謄本または除籍謄本(被害者死亡の場合)

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なお、加害者が複数いるときは、自賠責保険金の支払い限度額は、加害者の数だけ増えます。

例えば、傷害事故で加害者が2人なら、傷害の限度額120万円が240万円になります。

ただし、当然ながら損害額が倍になるわけではないので、勘違いしないようにしましょう。

それでも限度額が増えることで、損害賠償額の自賠責保険比率が増えるのは、加害者に支払い能力が無い場合など、被害者に良い方向に働きます。

被害者請求から支払いまでの流れ

被害者請求をするためには、何と言っても請求先になる自賠責保険会社を知る必要があります。

加害者の自賠責保険会社は、請求に必要な交通事故証明書からも知ることができ、結局は用意する書類なので、交通事故証明書で確認するのが良いでしょう。

1.自賠責保険会社に連絡

請求先の自賠責保険会社がわかったら、必要書類を添付して請求するのですが、自賠責保険金請求書等の書類を送ってもらうため、一度連絡してみるべきです。
その際に、加害者の自賠責保険証明書番号が必要となるので、準備しておきます。

2.請求書と必要書類を送付

自賠責保険会社に連絡すると、請求書と必要な書類の説明の他にも、記入方法を説明した用紙をセットにして送ってもらえます。
必要書類を揃えて請求書に記入し、一緒に自賠責保険会社に送付します。

3.損害保険料率算出機構での調査

請求を受けた自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構という外部機関に調査を依頼します。
損害保険料率算出機構では、請求された内容が適正で自賠責保険の支払い対象になるかなど、事故の損害として認定するかどうかの調査(審査)がされます。

4.請求金額の支払い

損害保険料率算出機構の調査結果は自賠責保険会社に報告され、自賠責保険会社は報告に基づいて被害者から請求のあった保険金を支払います。